ゴルフ ヴァリアント グレード おすすめ

ゴルフ ヴァリアント グレード おすすめ

フォルクスワーゲンが世界に誇る“実用車のベンチマーク”のすべて

【徹底解説】新型フォルクスワーゲン・ゴルフ 2022.03.30 ニューモデルSHOWCASE

長年にわたり“実用車の水準器”と評されてきた、ドイツのCセグメントハッチバック「フォルクスワーゲン・ゴルフ」。その新型にあたる8代目を徹底解剖。輸入車における定番の一台を、走りや装備、燃費、価格と、多角的な観点から解説する。

ドイツが生んだ世界的ベストセラー

地元の欧州では2019年末、日本では2021年6月に発売となったフォルクスワーゲン(VW)の新しいゴルフは、通算で8代目のモデルとなる。そのため、ファンの間では他の世代と区別するために「ゴルフ8」などと呼ばれることも多い。

ゴルフの初代モデルは1974年に発売された。VWの礎となった“ビートル”の世代交代を試行錯誤するなかで、次世代VWのデザインを依頼されたのが、当時イタルデザインを創業したばかりのジョルジェット・ジウジアーロだった。横置きエンジンのFFハッチバック、乗員を高めに座らせるレイアウト、リアのトーションビームサスペンション……と、初代ゴルフはその後のコンパクトカーの基本形となった。そんな理知的なパッケージを、普遍的でスマートなデザインで包み込んだのがジウジアーロの功績である。

そんなゴルフは初代から世界ベストセラー争いの常連となり、先代にあたる7代目までの約35年間で、世界中で3500万台以上が販売された。日本でも長らく不動の輸入車No.1というべき存在だったのはご承知のとおりで、1988年から2015年まで、28年連続で「外国メーカー車モデル別新車販売台数1位」に輝いた。

新しいゴルフ8も、パッケージレイアウトやエクステリアデザインの伝統を受け継ぐ正常進化版といっていい。そのうえで、今回の大テーマとなったのは“電動化”と“デジタル化”だという。

日本を含む成熟市場でゴルフ8の主力となるのは、110~150PSのガソリンエンジンに48Vハイブリッドを組み合わせた「eTSI」である。さらに本国では先代同様にプラグインハイブリッドも用意されるいっぽうで、電気自動車の「e-ゴルフ」の姿はない。今後、このサイズの電気自動車はニューモデルの「ID.3」にまかせる戦略らしい。インテリアはデジタル化が進められており、全車にフル液晶メーターやバイ・ワイヤ式のシフトセレクターが標準装備されるほか、インストゥルメントパネルのスイッチにも静電タッチセンサーが大胆に導入された。

【ラインナップ】 モデル展開の速さに感じられる人気車種の誇り

先述のとおり、ゴルフ8の日本発売は2021年6月だった。最初に上陸したのはハッチバックで、まずは主力となるガソリンエンジン+48VマイルドハイブリッドのeTSIが取りそろえられた。1リッター直3ターボ搭載車(110PS)と1.5リッター直4搭載車(150PS)がそれぞれ2グレードずつ、計4グレードでのスタートである。

さすが輸入車ベストセラーを自負する商品だけに、その後のバリエーション展開も速やかで、ハッチバックの約1カ月後にはステーションワゴンの「ヴァリアント」も上陸。搭載されるパワートレインはハッチバックと共通のeTSIで、4種のグレード構成も同様だった。

続いて2リッターディーゼルの「TDI」と、2リッターガソリンターボを積む伝統のスポーツモデル「GTI」も2021年中に上陸している(発売は2022年1月)。ちなみに2022年中の追加が期待されるバリエーションとしては、ディーゼルワゴンの「TDIヴァリアント」や、GTIよりさらに高性能な4WDの「ゴルフR」がある。

【主要諸元】

【パワートレイン/ドライブトレイン】 パワーユニットは従来型からいずれも全面刷新

日本で販売されるゴルフのパワートレインは、現時点で4種類ある。主力となるのはeTSIと名づけられた直噴ガソリンターボで、同エンジン車にはすべてベルト駆動のスターターアシストモーター兼発電機(最高出力13PS、最大トルク62N・m)およびリチウムイオン電池による48Vマイルドハイブリッドが組み合わせられる。核となるエンジンには、最高出力110PS、最大トルク200N・mの1リッター3気筒アトキンソンサイクルユニットと、最高出力150PS、最大トルク250N・mの1.5リッター4気筒アクティブシリンダーマネジメント(気筒休止)ユニットがある。ハッチバックには、このほかに後述するGTIやTDIもラインナップされるが、ヴァリアントのパワートレインは、今のところeTSIのみだ。

eTSIは低燃費なのも特徴で、1リッターはハッチバックで18.6km/リッター、ヴァリアントで18.0km/リッター(ともにWLTCモード、以下同様)をうたう。1.5リッターはそれぞれ17.3km/リッターと17.0km/リッターである。先代の1.2リッターや1.4リッターのTSIと比較すると、燃費も1割以上改善している(旧表記のJC08モード同士で比較した場合)。

さらに、ゴルフ7ではモデル末期の追加で人気となったTDIも、今回はゴルフ8自体の発売からわずか半年での導入となった。搭載される2リッターディーゼルの「EA288evo」型は、表面上の型式こそ従来の「EA288」と同じものの、細部にいたるまで別物のように進化している。NOxの浄化システムも、排気系の2カ所からAdBlueを噴射するツインドージング方式の尿素SCRに刷新。150PSという最高出力は変わらないものの、最大トルクは360N・mと先代より20N・m増大させつつ、同時に燃費も改善しており、日本仕様のゴルフ8では最良の20.0km/リッターとなっている。

245PSの高出力を発生するGTIの2リッターターボも、「EA888」という基本型式は従来どおりだが、末尾に「evo4」が付く最新世代。実際はブロックまでもが新設計だ。従来はポート噴射を併用していた燃料噴射も、完全な直噴としたうえで噴射圧を350bar(従来は200bar)まで高圧化。さらに指定オイルの低粘度化、ガソリンパティキュレートフィルターの追加など、スミズミまで手が入っている。

変速機はすべてVWでいう「DSG」、すなわち2ペダルの7段デュアルクラッチトランスミッションだ。現状ではeTSIが乾式クラッチ、TDIとGTIが湿式クラッチとなる。

【ボディーサイズ/デザイン】 ハッチバックとワゴンでホイールベースを使い分け

ゴルフ8は先代に続いて「MQB」と呼ばれる骨格モジュールを土台としている。厳密にいうと、先代のMQBを強化・軽量化した「MQBエボ」だそうだが、エンジンルームとキャビンの位置関係など、基本的なパッケージレイアウトに変化はない。シャシーのハードウエアも7代目から継承されており、フロントサスペンションは全車がマクファーソンストラットで、リアを動力性能や車重によって使い分けるのも先代同様。ゴルフ8の場合は1リッターeTSIのみがそこに半独立トーションビームを使い、それ以外はVWが「4リンク」と呼ぶ独立マルチリンクとなる。

ゴルフ8の外寸は、ハッチバックで全長×全幅×全高=4295×1790×1475mm、ホイールベース=2620mmだ。全長が30mm伸びたほかは、全幅は10mm、全高は5mm、ホイールベースは15mm小さくなった。世代を経るごとに巨大化する“クルマの拡大傾向”にも、ついに歯止めがかかりつつあるのか。

ヴァリアントのスリーサイズは4640×1790×1485mmと、ハッチバック比で345mm長い。注目すべきは、ゴルフヴァリアント史上初めて、ホイールベースがハッチバックより延ばされていることだ。ヴァリアントのホイールベースは2670mmだから、ハッチバックのそれより50mmの拡大となる。さすがにこれだけ違うと後席の居住性もはっきり異なり、ヴァリアントのほうが明らかに広い。

エクステリアデザインはハッチバック、ヴァリアントともに特徴的なプロポーションや極太のCピラー、横長のテールランプなど、長年の歴史で培われてきたモチーフを厳格に守っており、「ゴルフにしか見えない」のが最大の特徴といえるだろう。それでも、なだらかにカーブして伸びるボンネットのフロントオーバーハング部と、それに合わせた上下に薄いグリルや切れ長のヘッドランプが、新しいゴルフ8ならでは。このノーズのデザインは、Cd=0.275(先代は0.29)と大幅に改善された空力性能を最大の目的としているそうだ。

【インテリア/荷室/装備】 受け継がれる実用車としての高い機能性

ゴルフ8の大きな開発テーマとなったのはパワートレインの“電動化”に加えて、内外装備の“デジタル化”だった。それはドアを開ければ即座に実感できる。

先代ではオプションだったカラー液晶メーターは、ゴルフ8では10インチのそれが全車標準となり、さらにセンターの10インチタッチパネルも標準装備で、多様な機能がそこに集約されるようなった。

インストゥルメントパネルに残されたハードスイッチはハザードボタンのみで、エアコンやオーディオなどの最低限の調整機能もタッチスライダーとなった。より複雑なエアコンとオーディオの操作、ドライブモードや運転支援システム(ADAS)の設定などは、インパネのタッチセンサーで操作画面を呼び出して、センターのタッチパネルで操作する。またステアリングスイッチやヘッドライトパネルもすべて静電センサーによるタッチ式となる(1リッター車のステアリングスイッチのみ古典的なハードボタンとなる)。

さらにはシフトセレクターもバイ・ワイヤ式の小さなトグルスイッチ型となり、センターコンソールは非常にシンプルに小型化された。シートポジションなどは先述のとおりほぼ変わっていないが、インパネのセンターパネルやセンターコンソールが小型化されたことで、フロントの左右席は少し中央に寄せられ、外側のショルダールームが拡大している。

先代からの全長拡大分は大半がフロントオーバーハングにあてられており、室内空間や荷室の広さ、使い勝手は(ヴァリアントの後席をのぞいて)よくも悪くも先代と選ぶところはない。ハッチバックは全高が5mm、ホイールベースが15mm、それぞれ先代より小さくなっているが、シートその他の工夫によって、後席の実質的な広さも先代同様である。つまり新型ゴルフの車内には、大人4人が常用できる実用性が変わらず確保されているということだ。

ADASは、現在普通に考えられる機能はすべて用意されている。日本では宝の持ち腐れかもしれないが、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープコントロールは、最大210km/hという高速域まで設定可能だ。

【バイヤーズガイド】 価格重視なら1リッターTSI、装備&走り重視ならTDIがオススメ

主力となるeTSIは、ハッチバック、ヴァリアントともに1リッターが「eTSIアクティブベーシック」と「eTSIアクティブ」、1.5リッターが「eTSIスタイル」と「eTSI Rデザイン」と、各エンジン2グレードずつの計4グレードの設定となる。

このセグメントで1リッターという排気量に不安を感じるかもしれないが、200N・mという最大トルクは、ひと昔前の自然吸気ユニットで換算すると2リッター強のエンジン相当なので、動力性能にはなんら不満はない。実際に乗ってみても、小排気量ターボ特有の中低速域でのピーキーさはまるで感じられない。1.5リッターにいたっては、250N・mという最大トルクは2.5リッターの自然吸気エンジン相当で、ちょっとしたスポーツモデルといっていいくらいのパンチ力がある。

1リッター車のトーションビーム式リアサスペンションも、直接乗り比べれば後席の乗り心地に差はあるものの、そのギャップも先代より縮まっている。個人的に決定的な差はないと思うが、気になるなら試乗してほしい。

最安価グレードとなる1リッターのeTSIアクティブベーシックは、装備を絞った戦略価格商品で、「ハイビームアシスト」や「パークディスタンスコントロール」、さらにスマートキーや左右後席独立調整エアコンなど一部の装備が省かれるものの、16インチアルミホイールやインフォテインメント関連の装備は上級グレードと同等だから、現実的な納期で手に入るようなら注目だ。ただ、1リッター車にはシートヒーターやステアリングヒーターがオプションでも装備できないので、これらをご所望なら選外である。

先ほども述べたとおり、純粋な燃費性能ではディーゼルのTDIが現時点でゴルフ8最良である。とはいえ、最安価な「TDIアクティブベーシック」でも1リッターeTSIより20万~40万円以上高価なので、経済的にモトを取るのは簡単ではない。ただ、走りはガソリンより明らかにパワフルで、最安価なTDIアクティブベーシックでも17インチアルミホイールにステアリングヒーター、シートヒーターは標準装備。予算が許せば買い得だろう。

(文=佐野弘宗/写真=フォルクスワーゲン、向後一宏、荒川正幸、田村 弥、花村英典/編集=堀田剛資)

ゴルフヴァリアント6のホイールベースは?

サイズを見ると、全長4534mm、全幅1781mm、全高1504mm、そしてホイールベースは2578mmと、全長がわずかに先代よりも短くなっている。

ゴルフヴァリアントの回転半径は?

ホイールベースは大きくなったが、最小回転半径は5.1mと、先代モデルよりも0.1m小さくなっている。 ダッシュボードのつくりはハッチバック車と同じ。

ゴルフヴァリアントの室内長は?

室内長は従来型よりも48mm増加 全長とホイールベースの増加は、室内空間にメリットをもたらす。 新型ゴルフヴァリアントでは、ホイールベースをインテリア全体にほぼ完全に充当しているため、5名の乗客が快適に過ごせる。 室内長は従来型よりも48mm増加して、1798mmに。 これにより、足元のスペースは48mm広がった。

ゴルフ7ヴァリアントの全長は?

全長4,575mm×全幅1,800mm×全高1,485mm、ホイールベース2,635mm(TSI コンフォートライン)と、先代にくらべて全高が45mmも低められた7代目ですが、全長を30mm、全幅を15mmそれぞれ拡幅するとともに、ホイールベースを60mm延長することで、室内の居住性を大幅に高めています。