年末調整の書き方をまとめました。 うさぎ、ぱんだと年末調整を学ぶブログ。
2021年08月03日
社員のWさんが、令和3年の12月中に引っ越しをしたらしいんだよ。
年末調整の申告書を提出する時点ではまだ旧住所に住んでいたから、
来年分(令和4年分)の扶養控除申告書には旧住所を書いたんだって。
これってどうなの?住所を訂正してもらう必要はあるの?
原則としては、扶養控除申告書の住所欄は、
記入している年の1月1日時点に登録していた住所を記入する
ことになっているんだけど・・・
扶養控除申告書を書くときに、引っ越しが12月中に完了することが
分かっていて、すでに引っ越し先が決まっていたなら、
新住所を書いた方がいいね。
じゃあもしも、1月のお正月休み中に引っ越しする、という場合は?
引っ越し前の旧住所を記入して、引っ越し完了後に、異動の届出を
提出することになるね。
ふむふむ。
じゃあ、令和3年分の扶養控除申告書の住所はどうすればいいの?
令和3年分の扶養控除申告書は、旧住所のままになっているはずだね。
令和3年分の住民税は、令和4年1月1日現在の住民登録地で令和4年分
として課税されることになる。
つまり、旧住所で提出済みの令和3年分の扶養控除申告書は、
住所を訂正する必要があるということになるね。
ややこしいなあ。Wさんに話をしてみるよ。
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会社の総務・人事給与担当の方は毎年、年末が近づいてくると「この季節がやってきたか」と思いながら年末調整に向けて動き出すことと思います。年末調整は、担当者側だけで処理できる手続きではなく、労働者の方に正しく書類を書いていただくことが必要であり、頭を悩ませてしまう担当者は少なくないと思います。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
年末調整のために労働者にお渡しする「給与所得扶養控除等(異動)申告書」。
この書類は文字が小さく小難しい言葉ばかり並んでいて、嫌煙したくなりますよね。
しかしこれは、労働者が1年間で得た給与について配偶者控除、扶養控除、障害者控除などの控除を受けるために必要な大切な書類です。この書類を正しく書くことで、正しく控除を受けることができます。控除を受けるための書類と言っても、配偶者や扶養している人がいない方も書く必要がありますのでご注意ください。
この書類は毎年更新されますので、その年の書類(様式)で書く必要があります。ちなみに平成28年分からは、マイナンバー(個人番号)を記入する欄が追加されました。書類は、国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
ダブルワーカーなどお勤め先が2カ所以上ある労働者は、それぞれのお勤め先にこの書類を提出するのではなく、どこか1カ所だけに提出するようにしなければなりません。ダブルワーカーについては、1カ所からの給与だけでは控除が受けられないケースの対応などがありますが、そのご説明はここでは割愛させていただきます。
よくある「あなたの住所又は居所」の質問
控除を受ける方もそうでない方も必ず書く項目に、「あなたの住所又は居所」というものがあります。数年総務・人事給与を担当されている方ならご経験されている方が多いと思いますが、この項目は意外と質問が多いのです。
「住所は、今実際に住んでいる所を書けばよいのでしょうか。」
「結婚して東京都へ引っ越したのですが、住民票の住所は独身時代の時の神奈川県のアパートになっています。」
等々の問い合わせが飛んできます。
中には様々なご事情から、役所に届け出ている住所(住民票のある住所)と実際に住んでいる住所が異なる方がいらっしゃいます。
このような場合、給与所得扶養控除等(異動)申告書には、その年の1月1日に実際に住んでいる住所を書いていただくことになります。しかし、それと合わせて住民票のある住所も労働者に記載してもらうのがベストと言えます。
何故なら、給与所得扶養控除等(異動)申告書は実は2つの税金が関わっているからです。2つの税金というのは、1つは所得税、もう1つは住民税です。
住民税は住民票のある各市区町村から課税されます。しかし、会社は給与所得扶養控除等(異動)申告書の住所をもとに諸手続きを行いますから、書類通りの市区町村から住民税が課税されるよう事を進めてしまいます。
それでは、給与所得扶養控除等(異動)申告書の住所に記入した市区町村と住民票のある市区町村の両方から「うちに税金を納めていただけるのですね」と言われかねません。そこで、住民票のある市区町村には実際の住所地(ここでは給与所得扶養控除等(異動)申告書の住所)で課税処理を進めていることが伝わるようにすれば、誤ってダブルで課税されてしまうことも、住民票のある市区町村から「未提出者(未申告者)」という扱いを受けることも防げます。
しかし、一番正しい姿・望ましい姿としては、住民票のある住所地と実際に住んでいる住所が同じものであることです。会社側が転勤などを労働者に命じた際には、きちんと住民票を移してもらうよう労働者に伝えることも、総務・人事給与担当者のお仕事の一つと言えるのかもしれません。
余談ですが…住民票を移す手続きは役所があいている平日にしか行うことができませんよね。そのような必要な手続きは、会社による業務命令(転勤など)から生じたものとして考え、手続きを行う時間については有給で就業免除の扱いとしたり、有給の特別休暇を与える会社もあるようです。
まとめ
給与所得扶養控除等(異動)申告書に記入する住所は、原則として住民票のある住所です。
しかし、役所に届け登録している住民票のある住所と実際に生活している場所が違う場合があると思います。そのような場合には、その年の1月1日現在の実際に住んでいる住所を記入してください。
ただし、念のために住民票のある住所も記入するのが良いと言えます。住民票のある市区町村に対して「給与所得扶養控除等(異動)申告書に記入した住所の市区町村に住民税を納めます」と伝える役割を果たすためです。
しかし、最も望ましいのは、言わずもがな役所への届け出(ここでは住民票の住所)と現状がリンクしていることです。
マイナンバーの運用が開始され、もうすぐ1年です。これからますます年末調整などの事務手続きが簡易化されることが期待できます。しかし、申告する際に必要となる書類を準備する作業はまだまだ続くでしょう。
年末調整の書類には、住所を記載する欄が設けられており、提出の際は正しく書かなければなりません。原則として記入する住所は、年末調整の翌年1月1日に住民票をおいている住所です。実際に住んでいる住所と住民票をおいている住所が異なる場合、年末調整の時期をはさんで引っ越しを行った場合などには、特に間違えないように注意する必要があります。 目次年末調整のときに記載する住所は住民票の住所でよい?
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年末調整のときに記載する住所は?住民票の住所?
何かの書類に住所を書く場合、一般的にはそのときに住んでいる住所地を記入します。しかし年末調整の書類への住所の書き方は少し特殊なため、注意する必要があります。
年末調整の書類に住所を書くときは、原則として翌年1月1日に住民票をおいている住所地を記入します。ポイントは、いつの時点の、どのような住所地か、という点です。
年末調整の書類に記入する住所のポイント
- いつの時点か:年末調整後の1月1日時点
- どのような住所地か:住民票がある住所地
なぜ年末調整で提出する書類には、ほかの書類のように現時点で住んでいる住所地を書くのではないかというと、記入した内容の使われ方が違うためです。ほかの書類の記載住所は、本人確認や電話、メールでの連絡が取れなくなった場合の連絡手段の確保に用いられるのに対し、年末調整の記載住所は、住民税課税に使用されます。原則として住民税は、年末調整の結果を記す源泉徴収票が出される、1月1日時点に住民票がある住所で支払うことになっています。そのため年末調整の書類には、年末調整後の1月1日に住民票がある住所地を記入することが求められます。
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年末調整に記載する住所をケースごとに解説
単身赴任で家族と離れて生活している場合、年末調整で書く住所には2つのケースがあります。1つは自身が住民票を変更しているケース、もう1つは住民票を変更していないケースです。
単身赴任の場合に書く住所は?
住民票を変更している場合、年末調整の書類に書くのは変更後の住所です。家族がいて、その家族は元の住所で暮らしている場合にも、年末調整の書類には単身赴任先の住所を書きます。
住民票を変更していない場合は、単身赴任後の住所を書かなくてはいけないことに注意が必要です。先に説明したとおり、原則として、年末調整の書類に書くべき住所は住民税が課税される住所地で、それは1月1日現在、住民票がおかれている住所地です。住所地とは、生活の本拠地を意味します。しかし、転勤によって単身赴任し、住民票を移動していない場合は、生活の本拠地である単身赴任先の住所地で課税することができ、その市町村から納税通知が送付されたときには納税する義務があるからです。
年末調整前に引っ越し・住所を変更した場合は?
年末調整を行う前に引っ越し・住所変更をした場合は、年末調整の書類には基本的に引っ越し・住所変更をした後の住所を書きます。年末調整の書類に書く住所は、原則として1月1日に住民票をおいている住所地です。
引っ越し・住所変更をした時期が大晦日直前で、1年のほとんどを引っ越し・住所変更前の住所に住んで暮らしていたとしても、年末調整の書類に書くのは、引っ越し・住所変更後の新住所になります。
年末調整時に引っ越しているが住所を変更していない場合は?
引っ越しは終えているものの住民票を移動させる住所変更はしていない場合、年末調整の書類には引っ越し後の住所を書きます。住民税は「その市町村に住所を有する個人」を納税義務者としており、住所とは生活の本拠地のことです。引っ越しによって年末調整後の1月1日に生活の拠点がある場所が住所地となります。
もちろん、年内に引っ越し先での住民票の登録がすんでいれば、記入する住所は引っ越し後のものであることはいうまでもありません。
転職して前職の源泉徴収票の住所が異なる場合は?
転職して引っ越しした、あるいは引っ越しして転職した場合は、住所が前職の源泉徴収票に記載してあるものとは異なります。年末調整にも異なる住所を書くことになりますが、特に問題はありません。年末調整後の1月1日に生活の本拠地となっている住所を書き、前職の源泉徴収票はそのまま提出します。引っ越し・住所変更をした旨を伝えるようにすると、確認の手間が省け、スムーズに処理を進めることができます。
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年末調整の住所の書き方は?
年末調整の書類は、それぞれに住所を書く欄があるので、もれがないように記入します。
基礎控除等申告書
参照:国税庁「令和3年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」
扶養控除等申告書
参照:国税庁「令和3年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
社会保険料控除申告書
参照:国税庁「令和3年分給与所得者の保険料控除申告書」
年末書類の書類の書き方は、下の記事も参考にしてください。
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年末調整で住所を訂正・修正するときは?
年末調整の書類に住所を間違って記入してしまった場合は、二重線で消して訂正・修正します。修正液や修正テープは使用できません。訂正印については、特には定められていないため、会社の指示に従ってください。
年末調整の書類の住所を正しく書こう
引っ越したり単身赴任中であったりすると、年末調整の書類にどの住所を書くべきか迷う人が多くいます。年末調整の書類に書く住所は、住民税を支払う住所地です。そのため年末調整後の1月1日に生活の本拠地となっている住所を書くことになっています。
年末調整の書類には、基礎控除等申告書・扶養控除等申告書・社会保険料控除申告書それぞれに住所を書く欄があります。記入もれがないように注意しましょう。
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よくある質問
年末調整のときに記載する住所は?
年末調整後の1月1日に生活の本拠地となっている住所です。詳しくはこちらをご覧ください。
単身赴任の場合、年末調整に記載する住所は?
住民票を移動させている場合は単身赴任先の住所、住民票を移動させていない場合でも生活の本拠地である単身赴任先の住所を書きます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。