Show 普通二輪免許で乗れるBMWのスクーター「ニューノーマル」「新しい生活様式」なんて言葉が浸透し始めて、しばらく経つ。テレワークをするようになったり、公共交通機関を使わなくなったという人もいるのではないだろうか。 しかし、通勤のためだけに実用一辺倒じゃ味気ない、せっかくならレジャーにだって使えるとなおいいし、毎日触れるものだったら上質な物のほうがいい……という欲張りな願望を抱いてしまうのが人情である。そこで、少々キザな言い方かもしれないが「ビーエムをアシにする」なんて生活はどうだろうか。 「え?BMWってスクーターも作っているの?」と驚く人もいるかもしれない。というか、BMWがバイクを作っていることが意外に一般の人には知られていないような気がする(クルマ好きの人でも話すと驚かれることがある)。 話をBMWのスクーターに戻すと、350cc=普通二輪免許でOKという嬉しいモデルを用意してくれているのだ。 そのスクーターとはC400GT。2018年が初登場で、都市部の移動をメインとしつつも、「GT」の名が冠されているようにツーリング用途も見越したモデルとなっている。 【画像20点】BMW C400GTの装備や機能を写真で解説 BMW C400GT(2021年モデル)。2021年モデルでエンジン、フロントブレーキ、電子制御機構、シート下収納の照明などが改良されたほか、グローブボックスにUSB充電ソケットが追加された。 BMW C400GT(2021年モデル)。価格は93万円で、車体色はアルピン・ホワイト(標準)、カリスト・グレー・メタリック(6000円高)、写真のブラック・ストーム・メタリック2(2万6000円高)という3種。BMW C400GTのサイズ感「市街地でも問題なし」実際、C400GTは市街地で毎日乗っても問題ないサイズとなっているのがいい。 ライディングポジション・足着きも無理がない。 C400GTの足着き・ライディングポジション身長170cm、体重58kgのライダーがまたがったときの状態。 ライディングポジションは、ヨーロッパメーカーのスクーターではおなじみの上体が立った姿勢となる。 BMW C400GTのエンジン「GTの名は伊達ではない速さ!」エンジンはかなり元気だ……というか「速い」。OHCの349cc単気筒、34馬力というスペックがホント!?と思うほどである。 エンジンサウンドもワイルドで、スパパパンという乾いた音はオフロードバイクに何となく似ている。ただ、いわゆる単気筒バイクのように粒の大きい「揺れ」があるわけではなく、微細なリズムなので不快な振動はない。 高速道路に入っても、俊敏な加速で100km/hまではあっという間だ。最高速はもちろん大排気量スポーツバイクに敵わないだろうが、高速道路で「キング・オブ・ハイウェイ」を目指さない限り、物足りないということはないだろう。 349cc水冷単気筒OHC4バルブエンジンは、最高出力:34ps/7500rpm、最大トルク:3.5kgm/6000rpmの性能を発揮。2021年モデルでは電子制御スロットルの採用、シリンダーヘッドやマッピングの改良で、スムーズさも向上させている。BMW C400GTのハンドリング「ツアラーバイクのような安定感」ただ「GT感」がより強いのは、ハンドリングの方かもしれない。 「安定しているな~」と感じさせてくれるのは、サスペンションの恩恵が大きい気がする。はっきり言って硬めではあるものの、バンバン跳ねる不快な感じではなく、一発でショックを収めてくれて、お釣りでユラユラするようなことがない。 足まわり繋がりで言うと、ブレーキも超強力。十分な速さを受け止めるしっかりした制動力があるから安心感がある。それこそスポーツバイクから乗り換えても、違和感はないだろう。 フロントブレーキは265mmダブルディスク。2021年モデルではブレーキレスポンスを向上させるため、キャリパーを従来までのバイブレ(ブレンボの新興国向けブランド)製からスペインのJ.JUAN(ホタ・ホアン)製に変更している。エンジン・車体ともにしっかりした走行性能を持っているし、大きなスクリーンは防風性も高いので、週末は高速道路を使って長距離ツーリングだって楽しめる。パッと見、スクリーンは高さがあるように感じるが、身長170cmのライダーでは、スクリーン上端は視界のやや下になり、煩わしさがないのも美点だ。 C400GTの快適性・実用性「収納は必要にして十分、安全装備とヒーターは大きな強み」と、「走りが良い話」が続いてしまったが、スクーターならではの実用性・快適性ももちろんお伝えしていこう。 まず収納に関しては、シート下収納と2つのグローブボックスが用意されている。 「ちょっと待って、停車時ってナニ!?」と思った人もいるだろうが、BMWのスクーターはシート下収納後部が言わば袋状となっており、ロックを解除すると「底が抜け」収納スペースが拡大するのだ(筆者も初めて実車に触れたときビックリした)。「ヘルメットは駐車時にしまっておければ良い、そのためボディを無駄に大きくする必要はない」という割り切りなのだろう。 なので、タンデムをしたいユーザーは出先でタンデムライダーのヘルメットをしまっておくためトップケースを装備しておいた方がいいと思うが、タンデムライダーを乗せて走行しても、C400GTは挙動変化が少なくスムーズだ。後席も立派なスペースがあり、テスト走行で後席に乗ったライダーいわく「とにかく座面が広いから快適だし、グラブバーもつかみやすい形と位置で、安心して乗っていられる」とのこと。 忘れてはいけないのが、バイク通勤の悩み=「雨の日危ない」「冬は辛い」を緩和してくれる安全装備とヒーター類だ。ABSだけでなく、スリップを抑制するASC(*)を標準装備し、グリップヒーターだけでなくシートヒーターも標準装備されているのだ。 *BMWが「オート・スタビリティ・コントロール」と呼ぶもので、いわゆるトラクションコントロール。 BMW C400GT総評街乗りメインなら車検の無い250ccクラスの方がいいという向きもいるだろうし、「BMWってお高いんでしょう?」と思う人もいるかもしれないが、C400GTの価格は93万円~。走行性能や実用性の高さを考えれば「割高感」は無いと思う。 また良く言われる「原付じゃないバイクをアシに買うくらいなら、軽自動車買ったほう便利じゃない?」という話題もあるが、快適性が高いとはいえC400GTでは雨に濡れるのを防げない。が、C400GTなら週末にオープンエアーの爽快感を味わいながら旅ができるという「ならでは」の楽しみがある。 BMW C400GT(2021年モデル)主要諸元【エンジン・性能】 日常的に触れる部分も高機能と上質さを両立メーターは最新のトレンドに沿って、スマートフォン連動の大型カラー液晶モニターを装備。ただし標準表示モードでは大画面の中央に速度表示がデ~ンと現れるだけでもったいないというか、ちょっと寂しい。C400GTには切り替え可能な走行モードもないし、スクーターなので回転計を表示する必要性もあまりないし、まあ仕方ないか。 左スイッチボックスには、メーターのメニュー選択などを行うダイヤル式スイッチ、メニュー切り替えスイッチ、ハザードボタンがまとめられている。 ヘッドライト、ウインカー、テールライトと灯火類はフルLED。ハザードも備えている。ヘッドライ下のダクト状パーツは、4輪BMWの「キドニーグリル」と共通イメージなのか、偶然そう見えるだけか──。 スマートキーシステムを採用しており、ハンドル下には「メインスイッチ」が。ハンドルロックもメインスイッチの操作で行う。 給油口は足元にあり、エアプレーンタイプのスポーティなデザイン。燃料タンク容量は12.8Lで、燃費はWMTCモード値(クラス3・1名乗車)で28.57km/L。 レポート●上野茂岐 写真●小見哲彦/BMW CONTACT BMWモトラッド BMWカスタマー・インタラクション・センター TEL:0120-269-437 画像ギャラリー 21枚C400Xの最高速度は?BMW C400Xのエンジンは、水冷単気筒エンジンです。 排気量349ccでありながら十分な加速ができ、街乗りを最大限楽しめる性能があります。 最高出力は25Kw、最大トルクは35N・m、最高速度は139km/hとスクーターとは思えないパワーを発揮するでしょう。
BMW C400GTの燃費は?燃料タンクは12.8Lで燃費は28.6km/L(メーカー公称値)なので航続距離は約366kmと、街乗りにもツーリングにも不便がない航続性能です。
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